低容量ピル・アフターピルの購入・処方・避妊についてまとめました

ヤーズについてもっと知りたい!

ヤーズは24錠全て成分の配合が同じである一相性ピルです。三相性と違い、服用する錠剤の順番を意識せずにすむ事、また生理日の調整も簡単というメリットがあります。 日本の病院では月経困難症の治療薬として認可されており、その場合であれば保険適用となります。

ヤーズの成分・特徴

ヤーズには黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2種類の合成女性ホルモンが含まれています。この2つのホルモンの働きにより、脳の視床下部や下垂体が妊娠していると思い込み、排卵をストップさせます。排卵が行われないと妊娠はできませんので、避妊効果が得られるというわけです。
ヤーズの黄体ホルモンの成分はドロスピレノン、卵胞ホルモンの成分はエチニルエストラジオールです。
ヤーズはこの2つの合成女性ホルモンが24日分全て同じ量で配合されています。

ヤーズ ドロスピレノン (黄体ホルモン) エチニルエストラジオール (卵胞ホルモン)
1日目~24日目の錠剤(24錠) 3mg 0.02mg

通常、低用量ピルは実薬が21錠の、プラセボ(偽薬)7錠であることが多いのですが、ヤーズは卵胞ホルモン含有量が0.02mgと超低用量なため、服用期間を24日、休薬期間を4日となっています。これには理由があり、卵胞ホルモンが他のピルより低用量であるため、休薬期間を短くし卵胞発育抑制を維持する必要があるためです。
また、休薬期間が短いことで、ホルモンの変動が少なくなり下腹痛や頭痛等を軽減することができます。

ドロスピレノンの作用

ヤーズに含まれている黄体ホルモン剤「ドロスピレノン」は利尿剤である「スピロノラクトン」に構造上にており、弱い利尿効果があります。
そのため浮腫(むくみ)を軽減させる働きがあります。
また、ほとんどの黄体ホルモン剤にはわずかに男性ホルモン作用があるのですが、「ドロスピレノン」はほとんどありません。なのでニキビ治療にも効果があります。
「マーベロン」にもニキビ改善効果がありますが、どちらがよりニキビ改善に効果があるかというと、男性ホルモンの活性をより低下させる「卵胞ホルモン」が多く含まれている「マーベロン」のほうが効果があるといえます。

今まで、ピルを服用して吐き気や頭痛、体重増加等の副作用があった人は卵胞ホルモン含有量が少ない「ヤーズ」で改善されるかもしれません。

「ヤーズ」は血栓症が心配?

低用量ピルを服用することで、血栓症になるリスクが上昇することが知られています。
特に「ヤーズ」は国内で3例の死亡例があり、不安に思う方も多いようです。
低用量ピル(LEP錠剤)には「エストロゲン」という女性ホルモンが含まれています。この「エストロゲン」は血液を凝固する(固める)作用があるため、血栓症の発現頻度が高まるといわれています。
また、「ヤーズ」や「ヤーズフレックス」に含まれる黄体ホルモン「ドロスピレノン」の作用に「利尿作用」があるのは先述の通りですが利尿作用で体内の水分が減り、血液が濃縮し血栓症のリスクがさらに高まる可能性があります。
そのため、「ヤーズ」に限らず、低用量ピル(LEP錠剤)を服用する際は、意識して水分補給をこまめに行い、デスクワークで座っていることが多い方はこまめに立ち上がり足を動かす等注意するようにしましょう。
また、DHA・EPAのサプリメントは血栓症に効果があることが科学的に証明されているので、不安な方はサプリメントで摂取するのも良いでしょう。

ヤーズの分類

ヤーズは「第4世代」「一相性」ピルという分類になります。
「第○世代」というのは、黄体ホルモン剤の開発の順番によって区切られており、現在、第1世代~第4世代があります。ヤーズに含まれる黄体ホルモン「ドロスピレノン」は「第4世代」に分類され、低用量ピルの中で新しく開発されたものとなります。
「一相性」は、24錠すべてが同じ成分の女性ホルモンを含んだものをいいます。

120日間生理がなくなる?「ヤーズフレックス」

ヤーズは24錠の実薬と4錠のプラセボから構成されますが、2017年に承認を受け日本で販売開始となった「ヤーズフレックス」は28錠全てが実薬となり、連続して最長120日間服用ができます。
しかしヤーズと1錠あたりの成分・配合量は全く同じです。
「ヤーズフレックス」は月経困難症と子宮内膜症の症状の改善を目的として開発され、これらの症状がみられる場合は保険適用で処方されます。
詳しくは下記リンクをご覧ください。

ヤーズの服用方法

1日1錠、決められた順番で服用します。また、ピルは飲み忘れ厳禁です。
飲み忘れを防ぐためには、毎日同じ時間に飲む、毎日行う行動と一緒に服用するなど(例えば夜の歯磨きのあと)工夫をしている女性が多いようです。
また、服用はなるべく食後にすることをお勧めします。食後に摂ることで、胃腸への負担を軽くするためです。

いつから、どのタイミングで飲み始めたらいい?

通常、ヤーズは生理の初日に最初の1錠を飲み始めます
また、生理初日から服用ができなかった(生理2日目以降7日以内)場合でも、服用を始めることは可能ですが、その場合避妊効果が低くなります。2週間はセックスを控えるか、他の避妊法を併用しましょう。
生理が終わった後(7日目以降)に服用を始めることはおすすめできません。なぜなら、もう既に体内では排卵の準備が行われている可能性が高いからです。
次の生理日を待って飲み始めましょう。

飲み始めて避妊効果が出始めるのはいつ?

生理の初日から1錠目を服用すれば、その日から避妊効果が得られます。
メカニズムを説明すると、女性の卵巣は、月経が開始すると、その時から次の排卵準備を始めます。
しかし生理開始から24時間以内の時点では、排卵準備はまだ本格化していません。
そのため、そこでピルを服用すると排卵準備をストップすることができ、「その周期での排卵は起こらない」状態になります。
ピルの服用開始が生理初日となっているのは、そのためです。
しかし、生理開始から24時間以上経過してしまうと卵巣では排卵準備がスタートしてしまった状態になります。
ここでピルの服用を開始すると、排卵準備が落ち着くまでに時間が必要となり、確実に排卵をストップするのに2週間程度の時間がかかります。
しかし、この期間も生理2日目~7日目までです。
それ以降、8日目となると、もう完全に卵巣は排卵準備をスタートしてしまっていると考えたほうがよいでしょう。
この期間にピルを服用し始め、2週間が経過したとしても、ひょっとしたら妊娠する可能性があるという事です。

ヤーズを飲み忘れたら?

気をつけていても、「飲み忘れてしまった!」ということは良くあると思います。
1日飲み忘れた日にセックスをして「妊娠してしまうの?!」とあわてなくても大丈夫です。
基本的に7日間以上実薬を服用していれば卵巣は休眠状態となっているため、妊娠する可能性は低いです。
ただ、2日(2錠)以上飲み忘れていたり、服用がまだ連続して7日経過していない時は、妊娠する危険性があります

飲み忘れた場合(12時間~24時間)

毎日午後23時に服用していた人が、次の日の朝8時に服用するのを思い出した場合です。
思い出した時点ですぐに飲み忘れた分を服用します。
そして、その日の23時、その日の分を通常通り服用します。
1日に2錠飲むことになりますが心配はいりません。

飲み忘れた場合(24時間)

毎日午後23時に服用していた人が、昨日の23時にピルを服用していなかった事を次の日の23時に思い出した場合です。 思い出したときに、昨日の分と今日の分の2錠を服用します。
1日に2錠飲むことになりますが心配はいりません。

飲み忘れた場合(48時間経過)

2日間2錠、飲み忘れていることを3日目に気付いた場合です。
これには2つ方法があります。

そのまま1シート服用し続ける方法

気付いた時点で、昨日服用するはずだった分と、今日の分を服用します。
1日目の分は服用しません。要するに、1日分飛ばすということです。 消退出血(生理)を起こしたくない、または7日以上実薬を服用し続けていて避妊効果を持続させたいと考える人はこの方法を選ぶとよいでしょう。
しかし、この方法は不正出血を起こす可能性があります。
また、この方法は実薬を服用し続けていた日数によって対処が変わってきます。

【1】第1週に飲み忘れた場合
休薬期間または第1週に性交渉を行った場合には緊急避妊を検討する
【2】第2週に飲み忘れた場合
直前7日間に連続して正しく服用した場合には緊急避妊は必要ない
【3】第3週に飲み忘れた場合
休薬期間を設けず、現在のシートの実薬を終了したらすぐに次のシートを始める
参考資料:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤のガイドライン(案)/日本産婦人科学会(平成27年3月): PDF」

実薬を1日~6日しか服用していない時に2日以上飲み忘れていて、セックスをした場合は緊急避妊を検討しましょう。
妊娠する可能性があるからです。
7日連続して実薬を服用していた場合は、そのまま上記の方法で1日分服用をとばし、1シート服用し続けて大丈夫です。
21日以上服用していて2日間服用を忘れていた場合は、その月は消退出血(生理)をおこさず、2シート目を服用し始めます。

そのまま服用をいったんストップし生理をおこす

48時間飲み忘れた場合のポピュラーな方法です。
婦人科ではこの方法を推奨する先生が多いでしょう。
このまま、あと2日間服用をストップし、生理をおこします。
そして4日間の休薬期間のあと、新たな1シートを服用し始めます。
飲んでいる途中のシートは生理を遅らせたいときに使えるので、保管しておくとよいでしょう。

ヤーズ 製造販売元:バイエル薬品株式会社
日本では月経困難症の治療薬として保険が適用されるヤーズ。21錠全て成分の配合が同じである一相性ピルです。三相性と違い、服用する錠剤の順番を意識せずにすむ事、また生理日の調整も簡単というメリットがあります。

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