ピルを飲むと肌がキレイになる、という説があります。
これは、低用量ピルに含まれる女性ホルモンの作用によってニキビの発生が抑えられるからです。
このページでは低用量ピルのニキビ改善効果について解説します。
Contents
なぜ、ピルを服用するとニキビが減るの?
ピルの服用がなぜ、ニキビに効果的なのか。
大きく分けると3つの理由からなります。
・卵巣由来の男性ホルモン(テストステロン)の抑制
・自然に分泌されるプロゲステロンの働きが抑えられる
・ピルに含まれるエストロゲンの男性ホルモンの抑制
卵巣由来の男性ホルモンって?
ニキビは主に男性ホルモンの働きで発生します。
男性ホルモンには皮脂の分泌を活性化する働きがあり、必要量を超えると排出しきれないため、毛穴のつまりの原因となり、ニキビの発生につながります。
ところで、女性なのに男性ホルモン?と思われた方もいるかもしれません。
実は、女性も男性ホルモンはわずかですが作られています。
代表的なのは卵巣から分泌される「テストステロン」で、男性の約5~20%ほどの男性ホルモンが分泌されていると考えられています。
しかし、ピルを服用する事で、脳からの性腺刺激ホルモンが抑制され、卵巣で作られるテストステロンの生産を抑えることができるのです。
男性ホルモンと似た性質を持つ「プロゲステロン」をピルを服用することで抑制する
排卵期後から生理までの約2週間を黄体期といい、プロゲステロン(黄体ホルモン)が増加する時期です。
この時期は肌が脂っぽくなってニキビ・吹き出物ができやすくなります。
プロゲステロンは男性ホルモンと似た作用があり、皮脂腺に作用して皮脂分泌を促す働きがあります。
生理前にニキビに悩まされる方は、この「プロゲステロン」の働きによる可能性が高いでしょう。
しかし、ピルを服用すると、ピルに含まれる「プロゲステロン」で脳は身体に十分な量の女性ホルモンがあると認識し、それ以上のプロゲステロンの分泌が止まります。
ピルに含まれるプロゲステロンの量は、ピルを服用しない状態での分泌量よりも少ないため、ニキビの発生が抑えられるのです。
ピルに含まれるエストロゲン剤が男性ホルモンを抑える
低用量ピルには、エチニルエストラジオール(EE)というエストロゲン剤が配合されています。
そのエチニルエストラジオールは、性ホルモン結合グロブリン(SHBG:sex hormone binding globulin)という性ホルモンと結合するたんぱく質を増加させる働きがあります。
その性ホルモン結合グロブリンが男性ホルモン(テストステロン)と結合することで血中男性ホルモンを減少させることができます。
マーベロンをはじめとする低用量ピルには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の両方が含まれています。
プロゲステロンには男性ホルモンと似た作用があることは先ほど説明しましたが、マーベロンに含まれる「プロゲステロン」剤である「デソゲストレル」は男性ホルモン作用がとても弱いという特徴があります。
なので、皮膚科ではニキビ治療として「マーベロン」を処方するところが多い傾向があります。
マーベロン 製造販売元:オルガノン株式会社
日本で一番処方されている一相性ピル、マーベロン。エチニルエストラジオールというエストロゲン剤と、デソゲストレルというプロゲステロン剤を配合しています。デソゲストレルは男性ホルモンに似た作用が低用量ピルの中でも弱いという特徴があります。