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この症状って子宮内膜症?放っておくとどうなるの?

「子宮内膜症」と言う病名を聞いたことがある人は多いと思います。
10代後半から30代に多く見られ、若い人にも起こるのが特徴です。
生理のある1割の女性にみられるという説があるほど、羅漢率の高い病気でもあります。

子宮内膜症のメカニズム

子宮内膜とは、子宮の内側を覆っているものです。黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用で、受精卵が着床しやすいように定期的に厚くふかふかな状態となります。
しかし受精が起こらなかった場合は、子宮から剥がれ落ちて血液と一緒に排出されます。これが生理です。
子宮内膜症とは、もともとは子宮の内側にしか存在しない子宮内膜が、子宮以外の場所に現れ、そこでも生理のたびに出血と癒着を繰り返すと言う病気です。
原因ははっきりとはわかっていませんが、子宮内膜が生理の際に一部が子宮から逆流して卵管を通り、腹腔内にばらまかれ、内膜の一部がそこで発育してしまうのが原因といわれています。
子宮以外の場所では膣のような出口がないため、内膜や血液は排出できずその場にたまってしまい、病巣を作り炎症を引き起こします。

どんな症状が現れるの?

かなり強い生理痛

・かなり痛みが強いので鎮痛剤が必要である
・市販の鎮痛剤を服用しても十分痛みがとれない
・年々痛みが増強する(5年前よりも3年前、3年前よりも今年というように年々月経痛が増強する)
・腹痛だけでなく、肛門や膣の奥の方も痛い
・悪心や嘔吐を伴うこともある

生理痛以外にも時々腹痛がある

・排卵期(生理と生理の中間の頃)や生理前にも腹痛がある
・性交痛
子宮内膜症がダクラス窩にあるとセックスの際、膣の奥が痛むことがあります
・月経時に下痢をしやすい
・月経の血液量が多い(過多月経)

不妊症

子宮内膜症があると全ての人が不妊症になるわけではありませんが、不妊症の20%位が子宮内膜症が原因といわれています。

以上のように子宮内膜症には様々な症状が現れます。
しかし、症状の全てがでるわけではなく、そのいくつかが組み合わさっていることが多いでしょう。
上記の症状がいくつか自覚できるようであれば、子宮内膜症が疑われますので一度受診されることをおすすめします。

子宮内膜症の診断ってどうやって行われるの?

下記のような診察、検査を行い子宮内膜症であるかどうかを調べます。
1. 問診
2. 内診
3. 超音波
4. MRI
5. 血液検査(CA125というマーカー)
6. 腹腔鏡
病院によって項目や組み合わせの違いはありますが、上記のすべてを行うわけではありません。

ある程度症状が進んだ内膜症は内診でわかります

通常、問診で内膜症の疑いがあると判断した場合、内診にて子宮の後方(ダグラス窩)にしこり(硬結)がないかどうか、あるいは圧痛があるかどうか、あるいは卵巣がはれていないか(腫大)どうかわかります。
ある程度進んだ内膜症ではこの内診でほぼ診断がつきます。内診の時間は1〜2分間で特別な苦痛を感じるものではありません。

その他の検査

3の超音波は内膜症が卵巣の中にでき、チョコレートのう腫とよばれる、血液がたまった状態を診断するのに効果的です。4のMRIという断層撮影も同様です。
5の血液検査は補助的な方法で、血液中のCA-125という腫瘍マーカーが内膜症では高くなることがあり、このCA-125が高値であれば内膜症が進んでいる状態と判断します。
しかし、これが正常値であるからといって内膜症を否定することはできません。

腹腔鏡による検査

6の腹腔鏡は腹腔鏡という内視鏡(おへその直下から内視鏡を入れ、骨盤の中を観察し、さらには内膜症の部分を取り除くこともできます。)をお腹の内に入れて、直接診断する方法です。
この方法はお腹の中に内膜症が本当にあるかどうか、また病巣の広がり具合を直接みて診断が可能なことから最も信頼できる方法です。
しかし腹腔鏡は通常、入院の上、全身麻酔が必要となるので、負担の大きな方法になります。
腹腔鏡が必要な場合は内膜症がかなり進んでおり、薬などの治療では不充分な人で、内視鏡をみながらの切除、焼灼などの外科的処置が必要な人。
あるいは上記のような症状ではおかつ不妊症を伴う人などが腹腔鏡の対象になります。
内膜症の殆どは診断法1〜5で診断が確定できます。ですから生理痛を訴えて受診したら内膜症が疑われたので、いきなり腹腔鏡をしましょうということはまずありません。

子宮内膜症の治療方法って?

子宮内膜症は、閉経まで完治せず、再発を繰り返します。
疑わしい症状がある場合は、がまんせずに婦人科で診察しましょう。
治療方法はいくつかあり、症状や経過によって変わってきます。

低用量ピルの服用

ピルのプロゲストーゲンの作用で、体内のプロゲステロンの分泌が止まります。
よって子宮内や子宮外にできた子宮内膜の増殖を防ぐことができます。このため、重い生理痛などの症状が緩和されます。
人によっては全く月経痛がなくなる場合もあります。ピルの服用で症状が治まる場合は、ピルを毎月繰り返し服用するとよいでしょう。
もしピルだけで生理痛が完全になくならなければ、鎮痛剤を併用することも可能です。
もう一つピルでの利点があります。内膜症はそのまま放置しておくと毎月卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンにより年々に進行していく可能性のある病気です。
ピルを服用することで内膜症の進行をくい止めたり、進行する速度を遅らせることができます。

ディナゲスト

ディナゲストとは新しく開発された黄体ホルモン剤です。本剤を服用することにより、ピルと同様に排卵がストップし卵巣からの女性ホルモン、特に卵胞ホルモンの分泌を抑制します。
さらに本剤は子宮内膜症を直接抑制し縮小させる効果があります。従がってすぐれた鎮痛効果があります。
本剤は比較的長期に服用できることも利点の一つです。

ホルモン療法 Gn-RH

GnRHアナログ製剤(Gn-RHa)は、排卵をおこすよう指令を出す脳の中のホルモン中枢に一時的にブレーキをかけ、排卵をストップさせます。
その結果、卵巣からのエストロゲンやプロゲステロンの分泌が低下し、内膜症を一時的に萎縮させることができます。
通常このGn-RHa剤を6ヶ月間投与すると内膜症が小さくなる効果が期待できます。また治療の間は月経がありません。
デメリットとして、のぼせや発汗などの更年期に似た症状の副作用が多少見られること、また、長期的に使用できない(最長6ヶ月)というものがあります。

手術

薬では治療困難な内膜症の場合(かなり進行した内膜症やピルやGn-RHaでは改善しない内膜症、あるいは妊娠を希望する内膜症の方)は、手術療法が効果的です。
最近ではお腹を切開しなくても腹腔鏡という内視鏡をみながら処置する方法が可能になってきました。
この方法でお腹の中の内膜症を取り除き、あるいは癒着をはがしたり、小さな内膜症ならレーザーで焼きとばすなどの処置が可能です。
しかし、内視鏡といえども3~4日の入院が必要ですし、手術の時と同様、全身麻酔のもとで行ないます。また医師もある程度の技術の習熟が必要ですから、内膜症がある人の全ての人に腹腔鏡を行なうわけではありません。

まとめ

このように子宮内膜症の治療はいろいろな方法があります。
痛みをとりたいだけなのか、妊娠を希望しているのか、あるいは内膜症の重症度、症状の種類などのいろいろな要素で治療方法は変わってきます。
自分の症状って内膜症かも?と思ったら、一度婦人科や産婦人科を受診することをおすすめします。

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