低容量ピル・アフターピルの購入・処方・避妊についてまとめました

低用量ピルって副作用があるの?いつまで続くの?

低用量ピルを飲むことで、副作用があるのではないかと考えている方も多いのではないでしょうか。
確かにピルは薬ですので、副作用がありますが必要以上に強調されてきたため、「がんになる」「太るらしい」「不妊になる」といった誤解を持つ人もいるようです。
ピルが誕生した1960年頃は配合されたホルモン量が多かったため、副作用の発現率も高かったのですが、現在はホルモン量も低く抑えられているため、副作用の発現率も低くなっています。

ピル服用前はみんな不安?

ピルの服用者に対して行われた調査によると(※)ピルを飲み始める前に副作用が不安だ、と答えた方が63.9%で、半数近い人が副作用を不安に感じている事がわかります。
しかし、その後飲み始めたあと副作用に不満があると答え方は12.5%となりました。
そして、ピルを服用し続けたいと答えた方は94.8%、ピルに満足していると答えた方は96.7%にものぼります。
副作用を感じる方が12.5%いるにもかかわらず、満足度が96.7%という数字を見る限り、デメリットよりメリットが上回る人が多いことがわかります。

しかし、ピルは「薬」ですので、副作用を詳しく知ることは大切な事です。
むやみに怖いと不安を感じるのではなく、副作用を正しく理解することで前向きにピルの服用を続けられるようになります。
当サイトではピルの副作用について詳しく解説していきます。

よくある副作用(マイナートラブル)

ピルの副作用に吐き気や頭痛、不正出血等が上げられますが、ほとんどの場合の飲み始めて3ヶ月以内でおさまります。
これは、ピルの服用によって体内のホルモン環境がそれまでと変わることでおこるものです。
体が新しいホルモン環境に慣れることで不快な症状は消失していきます。

不正出血

ピルの服用中に不正出血が起こることがあります。不正出血とは生理の時以外に起きる性器からの出血のことをいいます。
大量に鮮血が出る場合や、おりものに少量の血が混ざっている場合も不正出血です。
ピル服用中の不正出血には、ほとんどの場合身体に問題のないものですが、病気によっておこる不正出血もあります。

ピルによる不正出血

エストロゲン(卵胞ホルモン)の作用で厚みを増した子宮内膜は、プロゲストゲン(黄体ホルモン)の作用で出血しないように維持されています。内膜を維持するプロゲストゲンが不足し、両者のバランスが崩れる事で出血が起きるのです。
プロゲストゲンの子宮内膜維持作用は使用される黄体ホルモン剤の種類・量と、エストロゲンの量によって決まってきます。
なぜエストロゲンの量が関係してくるのかというと、プロゲストゲンの子宮内膜維持作用は、 高用量のエストロゲンと一緒に使われることでより強い子宮内膜維持作用を発揮するからです。
そのため、エストロゲンが多く含まれている中用量ピルでは不正出血が起きることはほとんどありません。
ほとんどの場合、3シートを飲みきる頃には不正出血は見られなくなりますが、それ以降も不正出血が続くようであれば、病院で相談し、他のピルの服用を検討しましょう。

むくみ・吐き気・頭痛・体重増加

服用当初、上記のようなマイナートラブルが見られる場合がありますが、多くの場合1~3ヶ月で軽減します。

むくみとその原因

ピルに含まれるプロゲストゲン(黄体ホルモン)の働きに体内に水分を溜め込みやすくなるというものがあります。
これは妊娠した時に、 赤ちゃんに必要な羊水の量を増やしたり、赤ちゃんの血液として母体の水分が必要となるためです。
むくみ解消の方法としては、体内の水分を整えるアルブミンという物質がタンパク質には含まれているので、タンパク質を積極的にとること、 そして甘いものはピルの副作用を悪化させますので、控えることです。
それでもむくみがひどい場合は、病院で相談し、ピルの種類を変えてみるのも方法の1つです。

吐き気とその原因

ピルに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)によっておこる副作用です。
エストロゲンには嘔吐中枢を刺激する働きがあるため、体内のエストロゲンの濃度が高まると吐き気を感じるのです。
対処として、就寝前、または夕食後に服用する、酔い止め薬を服用する等があります。
また、エストロゲンの量によって吐き気が起こっている場合は、エストロゲンの少ないピルに変更する事で改善が期待できます。
吐き気が長期にわたる場合、またひどい場合は、お医者様に相談するとよいでしょう。

頭痛とその原因

ピルに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)によっておこる副作用です。
ピルによる頭痛は「飲み始め」「休薬期間」に起こる事が多く、原因はそれぞれ違います。
まず、飲み始めに起こる頭痛は、体内のホルモンバランスが一時的に乱れることが原因です。
ホルモンバランスが乱れると、血管が拡張し、痙攣を起こします。それによって頭痛が起こるというものです。
また、休薬期間中に頭痛が起こる人もいます。
これは、脳内物質セロトニンの低下によるものです。セロトニンはピルに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)に影響を受けやすく、休薬期間に入り体内からエストロゲンが減少するとセロトニンも低下するのです。
セロトニンには血管を収縮する働きがあり、セロトニンが低下すると血管が一気に拡張し、頭痛が起きます。
頭痛薬とピルを一緒に服用しても問題はありませんが、頭痛が長期にわたる場合は病院で相談し、ピルの種類を変えてみるのも良いでしょう。

体重増加とその原因

「むくみとその原因」に記載したように、ピルに含まれるプロゲストゲンの作用で、むくみやすくなることが1つの原因です。
体内にたまった水分の重さの分だけ、体重も重くなります。
また、プロゲストゲンには男性ホルモン作用(アンドロゲンと言います)があり、そのせいで食欲が増える場合があります。
食欲が増えた分だけ食べてしまうと、体重増加につながってしまいます。
ピルのせいで食欲が増えて辛いということが3ヶ月以上続くようであれば、アンドロゲン作用の低いピルを選ぶのも良いかもしれません。

まれにある重大な副作用

ピルの副作用のほとんどはマイナートラブルと言われる、軽い症状のもので、いずれも3ヶ月以内で大部分が落ち着いてきます。
しかし、血液が固まりやすくなって血管が詰まることで起こる「血栓症」や「乳がん」の発症のリスクが上昇すると指摘されています。

血栓症

ピルによる重大な副作用の1つが「血栓症」です。
頻度は決して高くはありませんが、血栓ができると命に関わる重い症状につながります。
血栓ができやすいといわれる要因として下記の3つが挙げられます。

  • 喫煙
  • 肥満
  • 高年齢

まず、喫煙についてですが、喫煙者は非喫煙者と比べ、血栓症の発症リスクは2倍以上となります。
また、BMI25以上の肥満体型の方も発症リスクが高くなります。
年齢については、40代以上の方で初めてピルの服用を考えている方は必ずお医者様に相談し、問診を受けましょう。
その他にも、長時間の飛行機による移動の多い人や、高血圧の人は注意が必要です。
家族に血栓症になった人がいる場合も、血栓症リスクが高くなる可能性があります。
高血圧や家族に血栓症になった人がいる場合、必ずお医者様に申告しましょう。

上記発症リスクが高くない方も、命に関わる血栓症の症状を知っておくことは大変重要です。
下記のような症状が現れたら、すぐにお医者様に相談しましょう。
その際、必ずピルを服用している事を申告してください。

  • ふくらはぎの痛み(特に左側が多い)押すと痛みが増す
  • 押しつぶされるような胸の痛み
  • 激しい頭痛、前触れ(まぶしい感じなど)の後に痛む、長く続く腹痛
  • 視界、視野の異常、目のかすみ
  • 舌がもつれる、ろれつが回らない
  • 手足のしびれ

乳がん

ピル服用の乳がん発症リスクに関する相関性は以前から議論が交わされているところですが、最新のガイドラインではわずかにリスクが高くなるという結論に至っています。
乳がんはホルモンに影響されて起こる腫瘍ですので、ピルとの関連性は否定できません。
現在乳がんにかかっていて治療中の女性は乳がんが増大するリスクが高いため、ピルの服用はできません。
しかし、乳がんを発症してから5年以上再発していない場合は、乳がん検診や経過の観察などを行えば服用が可能です。
同じく家族で乳がんになった人がいる場合も、定期的な乳がん検診を行うことで服用が可能です。

もともと20人に1人という高い罹患率(病気にかかる人の割合)のがんなので、低用量ピルを内服する女性も内服しない女性も1年に1回は乳がん検診を受けましょう。
特に、ピルを服用している女性は20代でも、乳がん検診を受ける事をおすすめします。

-ピルの処方