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人工妊娠中絶について

「人工妊娠中絶」とは、妊娠している女性に、人工的な手段で意図的に妊娠を中断して、胎児とその付属物を子宮外に出すことを言います。
妊娠は本来、喜ばしいものですが、様々な事情で、妊娠を継続する事が難しい方もいます。
やむをえない選択であっても、中絶手術の内容やリスクについて知っておきましょう。
また中絶手術をくり返すと、子宮内膜が薄くなってしまい、受精卵が着床しにくくなる場合があるなど、将来の妊娠にも影響することがあります。

妊娠中絶が認められるケースとは

妊娠中絶については、「母体保護法」という法律によって条件や時期などが決められています。
誰でも望めば中絶が可能というわけではありません。
妊娠が暴行や脅迫による被害による妊娠や、身体的・経済的に重大な問題があり母体に影響を及ぼす場合などに限り、
合法的に人工妊娠中絶を行うことが認められています。

妊娠中絶が可能な時期

中絶手術を受けるかどうかは大変デリケートで大きな決断となるかと思います。
しかし、中絶手術を受けられる時期は決まっています。
期限を過ぎると、中絶手術はできなくなるので、早急な決断が必要となります。
中絶が可能になるのは妊娠22週未満(21週6日)までです
妊娠初期(12週未満)と、それ以降とでは手術方法が異なり、母体に与える影響にも違いがあります。
妊娠初期のほうが体への負担は少なくなります。

人工妊娠中絶が可能な病院は?

産婦人科ならどこでも中絶手術を受けられる、というわけではありません。
各都道府県の医師会が指定する「母体保護法指定医」で人工妊娠中絶手術を実施することができます。
また、初期中絶は受けられても、中期中絶は受けられないという病院もあるので、事前に問い合わせておくと安心です。

中絶に必要な費用・書類は?

費用について

  • 妊娠初期の場合は8万円~15万円程度
  • 12週~14週で入院費用を含め20万円~30万円
  • 16週~21週で入院費用を含め40万円~50万円

妊娠中期(12週以降)になると、入院が必要となるため、費用が上がります。
これ以外に初診料や検査料等が別途必要になる場合もあり、術後の状態や入院日数、病院の施設によって費用も変わります。
人工妊娠中絶は、基本的には健康保険適用外で全額自己負担となります。

書類について

中絶手術は同意書が必要となります。
サインをするのは手術を受ける本人とパートナー(配偶者など)の2人です。
また、未成年者の場合は保護者のサインも必要になります。
パートナーがサインをしない場合や、相手がわからない場合は女性のサインだけでも提出は可能ですが、医師へ事情の説明が必要となります。
同意書は、当日医師の前で書くのではなく、手術を行う日の前までにあらかじめ用意して手術日に持参します。

中絶手術の方法

中絶手術は妊娠周期により方法が異なります。

妊娠初期(5週~11週)の場合

妊娠初期の人工妊娠中絶方法には、「掻爬(そうは)法」と「吸引法」の二種類があります。
掻爬法は、スプーンの様な専用の器具を使い、胎児と胎盤を掻き出します。
吸引法とは、吸引用器具を子宮に挿入し、吸引機を用いて胎児と胎盤を吸い出すという手術方法です。
通常は10分から15分程度で終わり、痛みや出血も少ないので、体調などに問題がなければその日のうちに帰宅できます。

妊娠中期(12週以降)の場合

妊娠中期に入ると胎児は大きくなっているため、掻爬法、吸引法は使えません。
掻き出したり吸引で体外に出すことができる大きさではないので、出産と同様の手順で取り出すことになります。
初期の手術と違い、意識下においての処置であるため、痛みも精神的な負担も大きくなります。
まずは手術の前段階処置(子宮頚管拡張)が必要となります。
専用の医療器具を膣内に数本ずつ挿入し、徐々に広げていく処置です。
この処置で入院一日目が終わり、翌日に器具を抜いたあと子宮口の開き具合を医師が確認し、問題なければ陣痛を起こすための薬を入れます。
個人差がありますが、しばらくすると陣痛が始まります。通常の出産と同じように、全ての工程において麻酔は行いません。
陣痛間隔が短くなったら、分娩台に上がり娩出します。
胎盤等の子宮内容物が排出されない時は、掻把法で、内容物を掻き出します。
手術が終わった後は、絶対安静が必要なので、そのまま最低3日間は入院となります。

胎児に関して

12週以降で中絶を行った場合、7日以内に各市町村に死亡届を提出しなければなりません。
死亡届を提出したあと、死胎火葬許可申請書を受け取り、手続きを終えて許可証をもらうという流れになります。
病院側で業者に委託して火葬から埋葬までお願いすることもあります。

人工妊娠中絶を行うリスク

中絶手術は、決して難しい手術ではありませんが、少なからずリスクを伴う手術であることを知っておきましょう。

初期の中絶手術では、麻酔を使って手術を行うため、副作用(嘔吐)が起こる可能性があります。
そして、器具挿入・掻爬法の掻き出しによって子宮内に傷や穴が開くことがあります。
他に手術時に子宮頸部が裂傷する・組織が子宮内部に残る・出血等のリスクがあり、手術後のケアによっては感染症、発熱、腰痛や腹痛を起こすこともあります。

中期の中絶は、通常の妊娠と同様の手順で進むため、自然分娩と同じリスクがあります。
例えば陣痛が強すぎた場合におこる子宮破裂、子宮の収縮不全などによる多量出血などです。

大事なのはあなたの「これからの人生」です

ほとんどの場合、時間が経過することで体は回復していきますが、中絶した子供への罪悪感や後悔の気持ちが、ストレスとなって長期間残る女性は少なくありません。
中絶によるPTSD(心的外傷後ストレス)に悩む人は20%もいるといわれています。
一番大切なことはすこしでもはやく自分らしさを取り戻し元の生活に戻ることです。
中絶という選択を行ったのには、大きな理由があったはずです。
自分が大切にしたい人や守りたい生活、日常があっての選択であったはずです。
それならば、1日も早くその日常に戻り、自分の人生を前向きに楽しく過ごしましょう。
そして、二度と中絶を繰り返さないために、主体的に避妊を行いましょう。

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