性行為の途中でコンドームが破れてしまった。
なんとなく彼氏に押し切られて避妊をせずに性行為をしてしまった。
また、望まない性行為を強要されてしまった、等の理由で望まない妊娠をする可能性がある際、行為後の72時間以内の服用で、高確率で妊娠を回避できる薬が「アフターピル」です。
「モーニングアフターピル」「緊急避妊薬」とも言われます。
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アフターピルはいつまでに飲めばいい?
アフターピルは服用が早ければ早いほど、避妊効果を発揮します。
性交後3日以内(72時間以内)にクリニックや産婦人科で処方してもらい、服用しましょう。
緊急避妊には2回に分けてプラノバールという中用量ピルを服用する方法(ヤッペ法)と、ノルレボという黄体ホルモンで構成されたピルを服用する方法の2種類がありますが、後者の「ノルレボ」の場合は、72時間以上経過しても避妊効果があります。
しかしその場合は避妊できる確立は下がってしまいますので、やはり早く服用するのが一番良いでしょう。
緊急避妊(ノルレボ・ヤッペ法)の経過時間ごとの妊娠率は、以下のとおりです。
性交後の時間 | 妊娠率 |
12時間以内 | 0.5% |
13時間~24時間以内 | 1.5% |
25時間~36時間以内 | 1.8% |
37時間~48時間以内 | 2.6% |
49時間~60時間以内 | 3.1% |
61時間~72時間以内 | 4.1% |
また、ノルレボを服用した場合の避妊成功率です。
服用時間 | 避妊確率 |
24時間以内 | 95% |
24~72時間(3日) | 84% |
72~120時間(5日) | 60% |
どこで処方してもらえるの?
産婦人科やレディースクリニックで処方してもらえます。
婦人科へ行くのに抵抗がある人もいるかもしれませんが、基本的に内診や膣内洗浄は行わなず、問診のみで処方する病院がほとんどです。
まず問診表に必要事項を記入し、医師から服用方法や副作用・効果などの説明を受けます。
低用量ピルのように継続的に服用するものではないため、カウンセリング料等発生しない病院が多いようです。
また、処方は自費診療となるため、保険証は基本的に必要ではありません。
もし提示しても、記録に残ったり、医療費の通知書に記載される事はありません。
価格ってどのくらいするの?
緊急避妊には2回に分けてプラノバールという中用量ピルを服用する方法(ヤッペ法)と、ノルレボという黄体ホルモンで構成されたピルを服用する方法の2種類があります。
ヤッペ法は安価ですが、副作用が強く現れる場合があり、最近は積極的に処方しないクリニックも多いようです。
最近主流なのは副作用の低い「ノルレボ」を服用する方法ですが、ヤッペ法の3倍以上の価格となります。
ヤッペ法 | 4,000円~6,000円 |
ノルレボ錠 | 10,000円~20,000円 |
通販でも購入できるって本当?
アフターピルは海外通販でも購入することができます。
この場合、病院で処方してもらう場合より安価に購入することができますが、到着に時間がかかることが多く72時間以内に服用することは難しいので、病院で処方してもらうほうが良いでしょう。
自分の身体を守るために、お守りとして購入する人も多いようですが、アフターピルの服用は一時的に生理周期を狂わせ、身体へ大きな負担をかけるものです。
通常の避妊はコンドームの使用か、低用量ピルの服用を行い、アフターピルはあくまで緊急措置用として保管しておきましょう。
どうしてアフターピルを服用すると避妊できるの?
アフターピルには排卵を遅らせて妊娠を回避する作用と、受精卵が着床しにくい子宮内膜の状態にする作用があります。
排卵前・排卵期に性行為を行った場合のアフターピル作用
排卵前に性行為を行い、アフターピルを服用した場合、アフターピルに含まれる黄体ホルモンが血液中を循環し、脳にある下垂体がそれを感知します。
下垂体は黄体ホルモンを感知すると、体が妊娠しているものと判断します。
そうすると、排卵を促す黄体化ホルモンの分泌をストップするので、排卵は行われなくなります。
排卵が行われなければ、受精・妊娠は成立しません。
これが、アフターピル服用で妊娠を防げる一番大きな理由です。
また、子宮内膜は黄体ホルモンの作用で、例え受精しても、着床しにくい状態と変化します。
排卵後に性行為を行った場合のアフターピル作用
排卵から数日経過している場合、卵子は排卵後24時間しか生存できないので、妊娠の可能性はないと判断してよいでしょう。
排卵直後に性行為を行い、アフターピルを服用した場合、受精卵が子宮内膜に着床しにくい状態と変化することで、妊娠を回避する効果を期待できます。
避妊できたかどうかはどうすればわかる?
アフターピルを服用し、本当に妊娠が回避できたかどうかの判断は消体出血(生理)が服用から数日後、または予定日前後にくることで判断します。
しかしヤッペ法もノルレボも100%避妊できるわけではありません。
避妊率は、ヤッペ法だと75%前後、ノルレボが84%前後と、ややノルレボの方が高い確率となっています。
服用後3週間経過しても生理がこない場合は、すみやかに妊娠検査薬などで検査をしましょう。妊娠検査薬は性交渉後、3週間後に正しい結果が出ます。
アフターピル服用後の消退出血はいつくるの?
消退出血は避妊が成功したかどうかの目安となるため、訪れるまでは不安だと思います。
しかし、服用後数日で消退出血が起こるのは卵胞期前期にアフターピルを服用した場合であり、それ以外の時期だと通常の生理開始日から2日~5日早まる程度となります。
女性の性周期(卵胞期、排卵期、黄体期)のどのタイミングでノルレボ錠を服用したかで、消退出血がいつ起きるかを調査した資料があります。
厚生労働省科学研究成果データベース「全国的実態調査に基づいた人工妊娠中絶の減少に向けた包括的研究」より
引用元:「緊急避妊の作用機序解明に関する研究 220822001A0018.pdf」
卵胞期前期(20例) | ノルレボを服用後5~6日後(月経予定日にきた例が3例) |
卵胞期後期(9例) | 月経予定日との差は2日以内 |
黄体期前期(21例) | 月経予定日との差は3日以内(5日早くきた例が2例) |
黄体期後期(18例) | 月経予定日との差は1.5日±0.7日以内 |
卵胞期前期、卵胞期後期、黄体期前期、黄体期後期とは、卵胞の成長具合(大きさ)と、黄体ホルモン量、性交日から次の月経予定日までの期間で区別しています。
卵胞期前期 | 主席卵胞径が16mm未満、かつ体内の黄体ホルモン値<1.0ng/ml |
卵胞期後期 | 主席卵胞径が16mm以上 |
黄体期前期 | 発育卵胞は認められず、体内の黄体ホルモン値>1.0ng/ml かつ性交日から予定月経日まで10日間以上 |
黄体期後期 | 発育卵胞は認められず、体内の黄体ホルモン値>1.0ng/ml かつ性交日から予定月経日まで10日間未満 |
上記研究の対象者は月経周期にばらつきがありますが、28日の性周期の場合、おおよそ4つの区分は下記の図のようになると思われます。
※各区分の日数は目安となります
いかがでしたか?
アフターピルは100%妊娠を防ぐものではありません。
しかし「ひょっとしたら・・・」「どうしよう!」と焦ったり悩んだりして次の月経開始を待つより、早急にクリニックで処方してもらったほうが安心ですし、もし妊娠した場合出産できないのであれば、中絶手術を考えなければなりません。
中絶手術は女性の心と身体を大きな負担を強いるものであり、その後パートナーとの関係にも暗い影を落とします。
避妊をパートナー優位で行うことに不安や不満を感じたら、低用量ピルの服用を考えるのも良いでしょう。